カエルプロジェクト

 「カエルプロジェクト」は三井物産株式会社が行う、在日ブラジル人の子どもの教育と将来を考えるセミナーです。愛伝舎は三重県の実施団体として2009年から2021年まで7回「カエルプロジェクトセミナー」を、鈴鹿市、四日市市、桑名市で開催しています。 
 1990年入管法の改正後、多くの日系人が短期就労として来日しましたが、2000年以降定住化が進み、それに伴い子どもの教育に関する課題も浮き彫りになりました。
母国語で意思疎通ができるということは、繊細な内容を話し合うためにとても重要です。
「カエルプロジェクト」ではサンパウロより、臨床心理士の中川郷子博士に来日していただき、日本に住むブラジル人、ペルー人の保護者と子どもたち向けの「セミナー」や「教育相談」、カウンセリングを行っています。


2021年 桑名市にて

12月18~19日に、初日は雪のためオンライン、2日目は会場でブラジル人家族の相談対応をしました。2009年に始まったカエルプロジェゥトは、サンパウロから中川響子先生が来日されて、帰国予定のブラジル人保護者への情報の提供やアドバイスを行いました。その後、子育ての相談をしていただいてきましたが、コロナ禍で中川先生が来日できず、昨年と今年は鈴鹿市の一般社団法人家庭教育研究センターふぁすの代表で公認心理師の米田奈緒子さんに相談の対応をしていただきました。

ブラジル保護者の子育ての悩みや疑問を丁寧に聞き取り、的確なアドバイスをして専門機関に繋げ、今後の子育ての道筋をつけていただきました。 カエルプロジェクトの三重県での実施団体として、米田さんに相談対応をお願いして新たな展開になりました。専門家への相談から、専門機関に繋いで保護者の安心に繋げていきたいと思います。


2020年 桑名市にて

今年は、鈴鹿市の一般社団法人 家庭教育センター「ふぁす」の代表で、公認心理師の米田奈緒子さんがブラジル人家族の子育てや教育の相談対応をしてくれました。
 通訳者を交えて、保護者の相談に温かく対応してもらえたと思います。相談を受け、その後の支援につながるよう機会になったと思います。

 母国を離れて文化や制度の違う環境で子育てをしていく困難さは、日本人にはわからないことも多々あるのだと思います。こういう機会を、三井物産株式会社の支援で続けることができて、少しでも寄り添えることができたと思えると、うれしく感じます。愛伝舎だけでなく、ふぁすやブラジル人コミュニティと連携ができ、これから力になっていけるネットワークが、活動を通じて広がっていくことがより嬉しさを増すのだと思います。


2019年 桑名市にて

サンパウロから来てくれた中川郷子先生と南米出身の保護者が子育て懇談会を開催しました。経験と根拠に基づくアドバイスで、参加してくれた保護者にとって、とても充実した時間になったようです。日本で子どもたちを育てて、日本で教育を受けていくうえで、なかなか相談できる場がないこと、日本の教育制度がわからないことが、伝わってきます。ポルトガル語でのやり取りは、話が止まりません。皆さん、こういう場を求めているのです。
 カエルプロジェクトは、2008年のリーマンショック後にブラジルへ帰国する家庭に、ブラジルの学校に転入する準備を伝えるセミナーから始まり、三重県では、2009年に鈴鹿市で開催しました。その後日本での定住を選び、日本で子供を育てていくうえで子育ての悩みを聞くワークショップとカウンセリングをする機会になりました。その過程で、子どもの発達の相談が多くなりました。三重県だけでなく、外国人集住地域の外国籍の子供たちの特別支援学級への在籍率が、日本人の子供の在籍率と比べて倍以上高い数字であるとわかってきました。
 発達障害の診断に関しては、外国籍の子供たちにあった検査が行われていないこと、通訳担当する人たちも十分な知識がないことなど、課題もあります。課題を共有しながら、現場で活動する人たちと連携していきたいと思います。


2017年 四日市市ブラジル保育園「アクアレラ」にて

ブラジル人、ペルー人家族に参加してもらい、ワークショップと中川先生によるカウンセリングを行いました。ブラジルから教育の専門家に直接、母語で子育て、教育について話をしてもらう機会は、外国人保護者にとっても貴重な機会になりました。日本で子育てをしていく悩みや、戸惑いを母語で話ができる機会は安心につながります。